cocoonに、新しい友達が来てくれた。
マイカーに乗って、命を繋ぐルートをつけて。
マイカーに乗ってcocoonの中に来る子は、初めてだったので他の子どもたちは少しだけ驚いていたけれど
友だちのことを知りたくて、
少しずつ距離を縮めたくて、
新しい友だちが来たときに、
いつでもたいていやっている方法で遊びを持ちかけていく。
私たち大人の関わり方を、子どもたちはよくよく観察して真似ることもある。
遊びを持ちかけてこない子は、自分の遊び(お仕事)に夢中だけど、他の子も自分のお仕事に夢中なのを知っている。
個々が、それぞれ自由でいていいことも知っている。
『 なんで、チューブが鼻から入ってるの? 』
『 なんで、よだれが垂れてるの? 』
『 なんで、歩けないの?? 』
一緒に過ごしていたら、Aくんのことがどんどん、もっともっと知りたくなる。
私が、理由を伝えると
「 へ〜!!そうなんだね〜〜!!! 」
と、ちょっとよくわからないけど、ちょっとだけ分かった!
これが、Aくん流のスタイルらしい!!と。
遊びの中で、Aくんも真剣に他の友だちの様子を見て遊びに加わろうと考える考える。。。。
遊びの中で交流し、共に育ち合う場面は続く。
cocoonに来てくれることになったAくん。
親御さんの
『 車椅子に乗っているお友だちだけではなく、色んな友だちと、広い世界との関わりを持ってほしい。 』
そんな思いがあり、選んでくださった。
そして私は、Aくんに初めて出会ったとき、Aくんがもつ成長への意欲や、あらゆる興味関心に応える発達の機会と環境を準備したいと感じた。
私は、幼少期を熊本県水俣市で過ごし、
水俣病の専門施設『 明水園 』に祖母が入院していたこともあり、毎週日曜日に通っていた。
脳性麻痺の症状とよく似た状態の、水俣病患者さん、胎児性水俣病の患者さんが生活されていた。
だけどそのような方々と、街のお店や海や、生活圏内で出会うことがなかったので、
幼い私は『 やっぱり、買い物に出かけたりできない病気なのかな? 』と思ったが、
今考えると、障がいをもつ方々の自由や人権が尊重されていない時代、社会だったのだと思う。
この書籍は、重症心身障害児とご家族の命を支える療育のために奔走された
島田療育園初代園長先生 小林堤樹先生の記録。
障害をもった方々、そのご家族の苦悩の道のり。
その昔、障がいをもって生まれてきた方の人権は無視され、
ご家族も差別を受けるなど、社会へ出ていくことなど許されないような時代があったそうだ。
この本に、重症心身障害児の特別支援学校で10年近く医療的ケアに従事していたときに出会った。
特別支援学校の『箱』の中では、理解者や専門職に守られているけれど、
一歩、この『箱』から出たときに
親以外の顔見知りや友だちを一人でも多く
地域や、社会につくっていくことが絶対に必要であり
cocoonとプレーパークならば、それができるかもしれない。
その可能性を感じ、学校や医療現場『箱』から飛び出して地域で活動する看護師になった。
看護師の教科書に載っていた
『 ノーマライゼーション・共生社会 』
その実現を強く願って、仲間たちと奔走してきた。
Cocoon が大切にしている
「インクルージョン・マインド」
子どもたちの育つ地域=ホームで、ひとりひとりが安心安全と感じ日々を過ごせること。
それぞれの違いを理解し、多様性を尊重し合い、認め合い、学び合い、困った時には手を差し伸べ、助け合えること。
保育・教育・地域の中で、どんな人でも分け隔てなく共に学ぶ機会が保証され、地域社会の中で誰も排除されないこと。
初めてAくんが、cocoonに遊びに来てくれたときに私は、彼にこう話した。
「 Aくんは、みんなの先生だよ。
Aくんが、みんなとどうやったら楽しく過ごせるか?
まわりのお友だちや、私達が考えたり工夫したりするからね。
Aくん、色々教えてね! 」
そう伝えると、
とても驚いた顔をしたAくんの大きな瞳から大粒の涙がポロポロと落ちた。
オーナのゆかりさんも、私もそれを見て一緒に泣いていた。
交流して、初めて分かることがある。
人の命も、自分の命も、同じように大切だということが。
そして、どんな違いも受け入れられる子どもたちの姿から、
社会がもっともっと変わっていかなければならないことを感じる。
車椅子に乗った脳性麻痺のお子さんが、
特別支援学校高等部を卒業するときに、
ゆっくりと
丁寧に、
大勢の教職員と保護者の方々に向けて
勇気を出して伝えてくれた言葉。
『 私は、特別支援学校じゃなくて、普通の学校に行きたかった。』
と。
子ども家庭庁が創設され
杉並区にも子どもの権利擁護の審議会が設立された。
子どもの声を広く集めていくことに、
重きがおかれていることは、新しい時代の変化を強く感じる。
全ての子どもの声、
養育者の声も
丁寧にひろい、
社会の仕組みに反映していく責任が私たちにはある。