善福寺のやさしさについて

インタビュー記事の取材と執筆を担当している淵上です。世田谷の羽根木公園(日本のプレーパークの歴史がはじまったところです)の近くで家族4人で暮らしています。

これまでiwata yucariさん、中村さん、茂木さんの話をじっくりと聞かせていただきましたが、そこで感じ、考えたのは、”やさしさ”のことです。

 

わたしの娘はダウン症で、身体的にも知的にも、同世代の子たちとは発達が2倍くらい遅いのですが、いつもニコニコ、ひょうきんな性格で、毎日楽しそうにやっています。私ももちろん楽しくて、彼女と過ごした7年くらいの間に、性格も変わったような気がします。一言でいうとやさしくなった。どうしてやさしくなったのか、まだよくわからないところもあるのですが、彼女のやさしさに影響されたということはあるように思います。

彼女はとてもやさしい子です。お友だちに親切にするとか、植物を大事にするとか、そういった具体的なやさしさではありません(むしろ個別具体ではかなり適当で雑です)。もっとぼんやりとした、世界にむかってにこにこやわらかく笑っている、そういったやさしさなのです。

このやさしさはそして、すべからく子どもたちみんなに共通してあるものだと思います。

この世に生まれてきて、見るものすべてが新しく、輝き、わくわくするばかりの子どもたちを見ていると、人の生命というのは世界に対してこんなにやさしく、よろこびに満ちているものなのだなあということを、あらためて思い出させてくれるのです(私たちもかつてそうだったのですから)。

ちょうどクリスマスのころ、サンタクロースの奇跡を信じてわくわく、どきどきしている子どもたちを見ていると、ほほえましく、火にあたるようなあたたかい気持ちになるように、われわれ大人たちは、子どもたちの生命のやさしさから、たくさんのよきものを受け取るのではないでしょうか。

 

cocoonで感じるのはそういったあたたかなやさしさです。子どもたちができるかぎり子どもらしく、世界に対してやさしく、喜びとともに遊ぶことができるように、その空間を繊細な精神で守っているcocoonのスタッフのやさしさ。善福寺プレーパークで全力でバカをやっている大人は、ただ好きでバカをやっているのではなく、このやさしい空間を守るために全力でバカをやっているのでしょう。親向けのインクルーシブ講座で伝えようとしているのは、このやさしい空間(これがインクルーシブということの意味でしょう)を守るために必要な、大人が知っておくべきやさしさについてなのでしょう。

大人のやさしさは、子どもの本来もっているやさしさに影響を受けながら、それを守り育てていくために発揮されるものだということを、cocoonという場所はいつも示しててくれます。そんな場所はこの世知辛い世の中でそうそうあるものではありません。そして子どもたちのやさしさを守るcocoonは、善福寺という土地にも守られています。

そんな稀有なことがこの世知辛い世の中で実際に起きていること。その限りないやさしさに触れるしあわせを、cocoonという場所は与えてくれるのです。