Cocoonとは

あるがまま、を大切に。
Cocoon parents squareは、子ども自身の才能をひきだすための場です。
少人数だからできる丁寧な視線で、押し付けではない子ども自身の内から生まれる楽しさを大切に保育をしています。

2020年4月の移転にあわせ、児童発達支援と休日のイベントも始まります。

概要

会社名:株式会社Cocoon parents square
代表者:岩田友加里
所在地:東京都杉並区善福寺2-32-21
電話番号:03-6913-5315
設立:2018年3月
事業内容:保育所・児童発達支援

アクセス

住所:東京都杉並区善福寺2-32-21

交通アクセス:JR西荻窪駅 / JR吉祥寺駅北口 / 上石神井駅 / 大泉学園駅南口からバス乗車【八幡橋 】バス停目の前

西荻窪駅北口から徒歩17分 / 上石神井駅南口から徒歩17分

電話番号:03-6913-5315
お問合せ:お問合せページ

Iwata YucariのCocoonへの想い
Cocoonのこれまで、現在、
そしてこれからのこと
Iwata Yucari
子育ての違和感からはじまったCocoon

2014年、どうしてCocoonをはじめたのか?

 

最初の子、上の娘が生まれてからすぐ、産休と育休をとって週3回で職場にすぐ復帰したんです。アパレルの仕事をしていて、ふつうはあまり育休も取れない業界でもあったのですが、なんとか無理をしながらやっていましたが、とても大変で、大きな違和感を感じていました。
なんでこんなに大変な思いをして、子育てをして、仕事もしているんだろうと。なにかおかしいなって。そして二人目を授かった時に仕事は辞めました。そして子育ての季節が始まります。
同年代の友人たちよりもすこし早いタイミングで子どもが生まれていたので、周りはみんな仕事にやりがいを感じバリバリとやっていましたが、私は子育てがほんとうに楽しかった。夫が働いてくれていたこともあって、ゆっくりと子どもたちと時間を過ごすことができました。

 

「読んで!」と一冊の同じ絵本をいつも持ってくる娘に、何度も何度も読んであげたり、いっしょに寝転んで楽しんだり。その時間がとっても貴重で、楽しい時間でした。そこで子どもたちとじっくり向き合い観察することができたことも、とっても大きな経験になりました。娘にまつげがはえてくる瞬間まで見てましたから、笑。この時間があったからこそ、Cocoonがはじまったし、今のCocoonがある。そう思います。

 

もうひとつ、違和感を感じていたことがあって。それは「ママは外に出るのが大変だ」ということです。外で遊ぶことが気持ちよかったし、子育てするには子どもと外に出ることが日常であるはずなのに、小さな子どもがいるとそんなにすぐには外に出られないんです。これは小さな子どもがいるお母さんならわかってもらえると思うんですがいろいろと準備があるんです。おむつの予備やら着替えやらを用意して、ベビーカーにたくさん積んで、しかも街へ出るには公共手段を使わないとならないのでもの凄い緊張感ですし、すこしお化粧もしなくちゃいけないし、といったことをもろもろやっているとそれだけでけっこう時間がかかる。ほんとうは家のドアをあけたらすぐに外で遊べる、そんな環境がいちばんいいなと分かってはいるんですが、都会にいるとなかなかそうはいかない。そういう経験を経たからこそ「子育てを応援する活動をするなら、ぜったいに自然豊かな大きな公園の近くにしよう」と思いました。
拠点をつくるなら、駅のそばのほうがもちろん便利だし、利用者にとってもいいことが多いです。でも公園の近くでやろう、というところは譲れなかったんです。外遊びができる場所に近い、現場(Cocoon)にすぐに行ける、ということを何よりも大事に考えていました。すぐに日を浴びられて、外の空気を吸える場所で、子育てを応援したいと。だから善福寺公園の近くにCocoonはあるんです。それが今度新しく移転する場所とのご縁にもつながっています。

やっちゃおうか!ではじまったプレーパーク

最初は託児とワークショップを提供していたCocoon。その後のプレーパーク事業はどうはじまった?

もともとプレーパークのことは知っていて、親しんでいました。子どもを連れてはじめてはるプレ(はるのおがわプレーパーク)に行った時、泥んこの子どもたちがめいっぱい遊んでいて、手作りのあったかい遊具があって、水も使い放題で、ほんとうに衝撃でした! それからはるプレ、羽根木公園のプレーパークに子どもたちを連れて行ってよく遊んでいました。10年以上も前のことです。
それからしばらくしてCocoonを既にやっていた時に、いまのプレーパークの代表をやっている中村美奈子さんと善福寺公園で出会いました。彼女がCocoonに来たりするようになっていろいろ話すうちに、「プレーパークいいよね! やりたいよねぇ。やっちゃおうか!」という流れに話が転がったような感じです。それが4年前の2016年。
杉並区で、プレーパークを運営してきている大先輩である『のびっぱひろっぱ』さんのところに美奈子さんと通って、学ばせて(遊ばせて?)もらいながら、少しづつはじめていきました。最初はCocoonの庭でマシュマロを焼くようなところからスタートしましたね。
目指しているのは、常設のプレーパークがやっぱりあればいいなということでした。子どもが主体の遊び場である限り常設にこだわって、おかげで大変なことしか起きませんが、笑、わたしも美奈子さんも大変であればあるほど生きている実感が湧くんです。羽根木公園のプレパは、世田谷区からの助成を受けながら常設という仕組みで子どもたちに遊び場を提供してますよね。杉並でも、常設のプレパをつくりたいなと。これはまだ実現できていませんが、きっといつか形になると思っています(笑)。
代表の美奈子さんは、地域で活動するのが上手で、いろいろなヒトとすぐに繋がってしまうという特殊能力を持っています(笑)。どこに行ってなにをやっても地域活動になるというか、地域と子どものために動いている使命感のようなものがあって、彼女が主になりながら、プレーパーク事業には取り組んでいます。

子どもと過ごす時間は宝物のよう

この春中3の娘と中1の息子がウチには居るんですが、今振り返ってみると、小さいときにとことん遊ばせてよかったなと。後悔はありません。これから日本や世界の未来がどうなるかはわからない、というのはわたしも同じですが、それでもなぜ開き直っていられるかは、この時の経験があるからだと思っています。


私は今でこそ外遊びやプレーパークなんてことをやっていますが、上の娘はばりばりのインドア系なんですよ(笑)。座って本を読んだり一人で絵を描くのがなによりも好きな子で。だから、小さい時分に、わたしの趣味で羽根木公園やはるプレに連れて行っても、そこでどろんこになって遊ぶようなことはなく、座って静かに本を読んだりしていることが多かった。キャンプに連れて行ったりもしましたし、わたしが遊びに行くところにもいっしょに連れていきましたが、どんな環境の下でも彼女は静かに、自分の好きなことをしていました。
無理やり娘に外遊びをさせたりはしないで、その代わりに何をしていたかというと、彼女のことをよく観察していました。彼女が本を読んで、絵を描いているところをずっと観ていた。彼女はどういうところが得意だったり好きなのか。苦手だったりイヤなのはどんな時なのか。彼女の凸なところと凹なところをじっくり観察して、そっとしておくことが多かったです。
あえてやったことは、守ることです。彼女が出しているもの、表現しようとしている気持ちや行動をていねいに守ってあげるということを、していました。たとえば絵を描いていたとしたら、手の届くところに白い紙をたっぷり置いてあげて、近くに色鉛筆も置いておく。下の子が生まれたら、お姉さんのやっていることが気になって必ず触りに来ます。そうなっても彼女が絵を描くことに集中できるように、机をすこし高くしてあげて集中できるようにする。そういうことだけはしてきました。してあげる、というよりは、観察をしていると、空気を吸って息を吐くように自然とその子の求めているモノやカタチが伝わってくるんです。まだ言葉では上手に説明できない年齢ですが、もっと特別な力で導いてくれました。それだけではないと思いますが、彼女はいま自分の好きなことにまっすぐ落ち着いて向かえる人になったなぁと感じます。

子どもへの視点ややさしさはどこで学んだ?身につけた?

私が大人になってからもまだちゃんと遊んでるからじゃないですかね(笑)。
あとは出会いとして大きかったのが、娘の幼稚園の先生。恩師ですね。入園して一番初めの保育参観の日、他の子たちは全員で集まって何かに取り組んでいるんですが、娘だけは端っこで本を読んでいたんですね。それを見た時に、「ああ…」ってちょっと心が折れそうになったんです。そうしたら、先生がサササって私の横に来てくださって、「ひーちゃん、ずっと本を読んでますね。本棚の本を新しくしておいたんですよ。」と言ってくださった。先生は、彼女が本が大好きなことを知っていて、その姿を私に見せようとしてくれてたんです。わたしが心が折れそうになっていることもちゃんと見てくださっていて。。号泣しちゃいましたね。
先生の、必要なときにはグッと寄せてきてくれて、そうでないときは引いている、あの視点にはとっても学ばせてもらいました。親子でも夫婦でも友達でも、距離感やバランス感覚みたいなものを教わりました。ちなみに下の息子は逆に外遊び系が加速しすぎていて家に帰ってこないタイプで(笑)、姉とは真逆です。

どんな子ども時代を過ごしてた?

生まれたのは東京ですが、父の仕事の関係で3-6歳のときにアメリカにいきました。その時に預けられたのがモンテッソーリの考え方で運営していた幼稚園で、そこで長い時間を過ごしました。いまCocoonではモンテッソーリの考えを取り入れていて、私も学んでいるところですが、アメリカでのこの時の経験は大きかったと今になって思います(モンテッソーリメソッドについてはまた次回詳しくお話しします)。
実はこの時期のことはほとんど記憶にありません(笑)。たぶんめいいっぱい遊んでいたんだと思います。今あらためてモンテッソーリのことを学んでいると、当時使っていた教材や遊具がそのまま使われていたりするので、その時の記憶がふいに蘇ったりします。
敏感期という考えがモンテッソーリではありますが、これは3歳ごろの子どもには「吸収する心」という特別な精神形態があり、それは外界のものを非常に積極的に吸収する特別な力をいいます。幼少期の頃の敏感期こそ潜在能力を見つけ伸ばす『今』でもあり、この時期にたくさん集中する時間をつくってあげること。そうマリア・モンテッソーリ氏は伝えています。わたしも思いきり集中して遊んでいたんだと思いますね。

なぜ株式会社による託児サービスで運営しているのか?

子どもの居場所としては、認可保育所、無認可の保育所といった他の選択肢もあった。家庭的保育を株式会社で有償のサービスとして提供する意図や思いは?

モンテッソーリでいう超敏感期である0ー3歳のこの時期に、子どもと過ごす時間を大切に考える親御さんのことをサポートしたい、という思いがまずあります。時間だけは巻き戻すことができないからです。Cocoonでは、保育園のように平日の日中を同じお子さんで預かるサービスは提供していません。あくまでスポットで短時間預かるサービスが基本となります。
それは、お母さんとお子さんのしあわせな時間をできるだけ大切にしてほしい、という願いのようなメッセージのようなモノかもしれません。
そして他の園との違いは、少人数制、自由保育、外遊びに特化し潜在能力に働きかけ、親の代わりになって観察をし、見守り、圧倒的に愛をかけ育む、家庭的保育(私たちはお家保育と呼んでいます)であること。現役ママ達でもある私たちスタッフこそが最も得意とする専業主婦目線、これはある意味日本の資本主義と逆行している今時めずらしい託児所かもしれませんね(笑)。
スタッフの話が出たので少しお伝えしたいと思いますが、子どもたちだけでなく働くスタッフの環境や精神状態なども、お預かりする子ども達と同じくらい大切に考えています。見守る私たちの心がまっすぐであると、きちんと子ども達にもまっすぐと伝わるんですね。
こうした伝わるものはぐるぐると循環していて、私たち大人が子どもたちから教わることもたくさんあります。
命の尊さは同じだよ、大人だから、子どもだから、男の子だから、女の子だから、などの線引きはないんだよ、とCocoonにくる子どもたちは教えてくれています。私たちはお世話をしているようで、実は子どもたちに心のお世話をされているようでもある。本当に毎日が楽しくてたまりません。

4月に拠点を移転するにあたって、改めて日本の教育現場について真剣に考えさせられました。認可園や無認可の園、そして公的な助成や保証の対象から外れている、自主保育やこどもの家など認可外の様々な子どものための場所なども選択肢としてありました。
最終的に私たちは、株式会社による託児サービス、というかたちを選びました。その最大の理由は、子どもたちのあるがままの姿と多様性、そして自由を確保したかったからです。ある規定の枠にはまることにより、様々な制限や負担が増え、子ども達と過ごす喜びや楽しみが減ってしまうことも避けたかったし、私たちがそうした規定に適応するとも思えません、笑。
昨年から始まった国による幼保無償化の細分化により、地域型保育事業という括りで無償化制度に参入の方向で準備を進めていますが、多くの専業主婦の子育てママにとって適用外である現行の制度についても考えさせられます。同じ国の、同じ子どもなのになぁ、と。家の仕事をし、子育てという重要な仕事をしている人への評価やリスペクトがもうすこしあってもいいなと感じます。

Cocoonのこれから

Cocoonのこれからのこと、どんな場所をつくっていきたいかについて

いつか常設のプレーパークをこの善福寺公園に!
そして新しくできる『善福寺の家』を、この地域の親子だけでなく、風通しの良い、多世代交流の場にしていければなと思います。
私がこれまでやってきたこと、そしてこれからもやっていこうとしていることは、どの親とも同じで、平和を願う活動のようなものです。私もそうですし、周りのお母さんたちと話をしていても、子どもたちがこれから先どんな世界を生きていくのか、先の見えない不安を感じて子育てしている人が多いと思います。10年後、20年後の日本は、世界はどうなっているんだろう。AIやプログラミングのこと、アートの意味、仕事や生活のこと。いろいろなことを考えて、どうしたら子どものためになるのか、アンテナを張り巡らせています。でも、やっぱり愛情でしかないんだと思います!
私が自分の子育てやCocoonを通じてやってきたこともそういうことでしかなくて。愛情を自分の子どもにだけではなく、友だちの子にも、近所のあの子にも、手と手が繋がる距離から少しづつ…。そうやって目に見える範囲でやれることをやってきて、少しづつ波紋のように広がってきました。そういうふうに愛情を広げていくことが、最終的には世界の平和につながるんだろうなと、そう信じて、今があります。
これからもそれを少しづつ続けていきたいですね。

(インタビュー・構成:淵上周平)